2020年12月28日月曜日

今月は映画の話が多い

情報が解禁になった。〈現代アートハウス入門〉という企画で小田香さんとお話をすることになった。


2月1日(月)のことだ。アントニオ・レイスとマルガリーダ・コルデイロ監督『トラス・オス・モンテス』(ポルトガル、1976)を観て、それについて話す。アートハウスつまりミニシアターでかかった現在では古典といっていい作品を上映し、それについて映画監督たちが(時にはゲストとともに)語るという7夜連続の企画。その第3夜に僕は登壇するという次第。第1夜『ミツバチのささやき』第4夜『緑の光線』などもいくらでも話したい対象の作品ではあるが、ともかく、第3夜だ。アントニオ・レイスのドキュメンタリー的手法に影響を受けたのがペドロ・コスタ。そのコスタの教えをタル・ベーラの映画学校で学んでいるときに受けたのが小田香さんだ。僕は小田さんの映画『セノーテ』のパンフレットにちょっとした文章を書いた縁がある。コスタについても、以前告知のごとく、『ユリイカ』コスタ特集に書いたのだった。


ところで、蓮實重彦『見るレッスン――映画史特別講義』(光文社新書、2020)ではドキュメンタリーを撮れる監督に優れた作り手がいることが指摘されている。そして、現在の日本が第三の全盛期にあるとする蓮實は濱口隆介などのその傾向を高く評価している。加えて、世界に伍する優れたドキュメンタリー作家として小森はるかとともに小田香の名を挙げている。ふたりは「日本の宝」なのだそうだ。


そんな「宝」と僕はちゃんと話すことができるのだろうか? 


まあいいや『トラス・オス・モンテス』というのはポルトガル北部、スペインとの国境地帯でこの辺は400年もの長きに亘って追放ユダヤ人たちが住んでいた地区で、つまりは、ブニュエルの『ラス・ウルデス/糧なき土地』(1932)の地の裏に当たる場所だ。そんな話をしようではないか。そして、それ以上に、小田さんの話を伺おうではないか。