2020年11月21日土曜日

終日オンライン

昨日、耐えきれずここでちょっとばかり食事してきた。新橋の街はコロナ禍などよそのことのように賑わっていて、これじゃあ終息はしないなと思った。自分のことは棚に上げて。


今朝は1、2限、立教のラテンアメリカ講座の授業。


ベルナルド・アチャガ『アコーディオン弾きの息子』金子奈美訳(新潮社、2020)が面白かったので、訳者・金子奈美のオンラインでのトークを聴いたのだった。


金子奈美は出版した翻訳作品は3作目なのだが、3作目にしてはじめて翻訳者として自らの言葉で話す機会を得たとのこと。つまりこれまでは作者の通訳という形でしか翻訳書関連のイベントを行ってこなかったのだという。うーむ、ただでさえ影である翻訳者なのだから、翻訳が出たときくらいはしゃべらせて欲しいものである。彼女は1時間では足りないぞとばかりにアチャガ作品への愛を語り、テクストへの思いを語り、でもそのわりになるべく作者とありま接触しないことにしているとの翻訳姿勢を語った。


『アコーディオン弾きの息子』はカリフォルニアの牧場で50歳くらいで死んだダビが書いた故郷の日々との回想を、幼なじみの作家ヨシェバがリライトするという形式の一人称小説(二重の)。舞台は『オババコアック』と同じ架空の町オババ。スペイン内戦で父はフランコ派として町の「アカ」たちを殺したかもしれず、母方の叔父は反フランコ派のバスク民族派という家庭に育ったダビは父に反発しつつも父の跡継ぎとしてアコーディオンを弾いたりしているのだが、やがて、大学に進学するとある夏の日々のできごとのおかげでバスク独立派の活動員として地下に潜ることになるという話。500ページ超の小説だが、最後の100ページ足らずで重要なできごとが起こる。こうした重要なテーマを甘酸っぱい青春の物語が貫いている。


夜はラテンビート映画祭でマリオ・バロッソ監督『モラル・オーダー』(ポルトガル、2020)をオンライン配信鑑賞。マリア・デ・メデイロスが主演の映画だ。新聞社の創業者の娘が、その社を売ろうとするわ浮気はするわの夫に反発して26歳年下の元運転手と駆け落ち(偽装誘拐)をして逆に罠にはめられた形になり、精神病院や刑務所やらに収監され、戦う話。