鹿島茂が立ち上げた ALL REVIEWS というサイトがあって、このたび、僕もそこに参加することになったのだ。ついに僕も書評家デビュー! ……いや、実際は、僕はこれまでもけっこうな数の書評を書いてきたのだ。その一部がここで順次、公開されるはず。
どこにも書評は書いていないのだが、最近読んだのは、これ:
村田沙耶香『地球星人』(新潮社、2018)
母親からは半ば虐待され、姉に虐げられ、塾の先生には性的に虐待される語り手・奈月が、自らを宇宙人(ポハピピンポボピア星人)と見なし、宇宙人との自認を分かち合うことのできるいとこ由宇と疑似結婚することによって辛い少女時代を乗り切ろうとする話……と思ったら、その23年後、セックスや人間の再生産システムに対する嫌悪感を分かち合う智臣との偽装結婚がそのシステム(彼らが「工場」と呼ぶもの)との軋轢を深めたため、奈月、智臣、由宇は3人で籠城、宇宙人として生きていく決心をする話に転化する。そして思いがけないカタストロフ。
この作家の家族と再生産システム(つまり、セックスの社会的管理なのだが)に対する嫌悪感が実に好もしく、つい読んでしまう。昨日はこんど千葉に引っ越すという教え子と忘年会だったのだが、千葉には「工場」やら人工妊娠の実験都市があるぞ(『消滅世界』)と話して盛り上がったのだった。