2015年5月15日金曜日

またヘンな映画見ちゃったなあ……楽しいなあ……

Damián Szifron, Relatos salvajes (アルゼンチン、スペイン、2014)

邦題はまだ秘密、試写会に呼んでいただいたのだ。

このタイトル、この公式サイトの最初のイメージ。これはどう考えてもボラーニョだろう、という予断を持って見に行ったのだ。『野生の探偵たち』Los detectives salvajes ならぬ『野生の短編たち』Relatos salvajes

監督のシフロンはどこかで、暴力に関係した短編を書いているうちに、それらがつながった、というようなことを言っている。連作短編の趣のある長編、という意味でも『野生の探偵たち』ではないか! なんといっても暴力とその思いがけない展開、切実なはずだけど笑ってしまう内容など、……うむ、強引に取ればボラーニョのようでなくもない。

まあボラーニョのようかどうかは別として、1パステルナーク、2ネズミたち、3最強の男、4発破、5提案、6死が二人をわかつまで、という6つの短編(後に行くほど長くなるように感じた)からなっている。

飛行機の中で通路を隔てて隣同士に座ったモデル(マリーア・マルル)と音楽評論家(ダリーオ・グランディネッティ)が会話を交わし、ほどなく、モデルの最初の恋人パステルナークのことを音楽評論家が知っていると言い出す。あるコンクールの審査員をしていたときに、パステルナークの作品をけなしたのだ。すると、後ろの席の女性が、自分はそのパステルナークの小学校の先生だったと名乗りを挙げる。それを聞いて、パステルナークと同学年の教え子が、先生ではないですか、と声をかけてくる……

そんな始まりだ。なんだか面白い。でもなんだか面白いということは、なんだかおかしい。恐怖すべきことがそこにあるのだ。そしてその恐怖が現実のものになる……といった具合だ。これがオープニングの最初の短編。

音楽もところどころおかしな雰囲気を醸し出している。グスターボ・サンタオラーヤの担当。


わけあって、あまり多くは語らないが、面白いのだ。今夏公開。ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて。

追記: 邦題『人生スイッチ』として7月25日より公開が決定したようだ。日本版公式サイトはこちら。