2011年6月7日火曜日

知の共有可能性を慶賀する

学生の授業での小課題の回答を読んでいて、ちょっと気になったことがあったので、CELARG(Centro de Estudios LatinoAmericanos Rómulo Gallegos ロムロ・ガリェーゴス・ラテンアメリカ研究センター)のサイトを久しぶりに訪れた。ロムロ・ガリェーゴス国際小説賞などを出している機関で、ぼくは2002年、ここの客員研究員だった。

そこで発見したのが、このプロジェクト。Biblioteca Ayacucho アヤクーチョ叢書の電子化。かなり多くの巻がPDFファイルとして無償でダウンロードできる。

スペイン語圏ではすでにBiblioteca Virtual Miguel de Cervantes セルバンテス・ヴァーチャル図書館のプロジェクトがあって、古典文学作品の多くをHTML文書で読むことができる。これに続く快挙だ。

アヤクーチョ叢書はベネズエラに滞在していたウルグワイ人批評家アンヘル・ラマの提唱から始まったラテンアメリカの古典作品の叢書で、細かく信頼に足る校注版ではないものも多いのだが、それでもたいていは研究者によるイントロダクションや注がついていて、ラインナップもオーソドックスな古典作品が揃っている。詩や小説の文芸作品のみならず、エッセイやジャーナリズム作品なども含むので、それもうれしい。

こうした叢書が電子版としてインターネット上にあり、いつでも参照しダウンロードできるのだから、こんな嬉しいことはない。知はこのように共有されるべきなのだ。