2024年11月3日日曜日

田中一村とガルシア=マルケス

1030日には田中一村展@東京都美術館を観に行った。一村は50にして奄美に渡り、そこの自然を描いた日本画家で、そんな経歴から「日本のゴーギャン」と呼ばれたりもするが、作風はむしろアンリ・ルソーを思わせるように僕には思える。で、ともかくのその彼にかんしては近年、知られていなかった作品の発掘が進んでいるようで、この展示会でもそうした作品を展示しているようである。それら、主に奄美渡航以前の作品が実にいい。


平日の昼間なのに人がたくさんいて戸惑った。NHKが何度かにわたってこの展覧会および一村の業績などを紹介しているので(僕はそれらを事後、NHK+で観たのだった)、その影響もあるのだろうか?


写真は夕暮れに映える都美。

112日(土)には第9回現代文芸論研究発表会というものがあった。その第3部では「文庫で読む『百年の孤独』:今読む意義」というシンポジウムをやった。まず僕が『百年の孤独』文庫版に対するメディアの反応を紹介した。次いで久野量一さんが『百年の孤独』のカリブ世界への開かれ方を具体的な他の作品をあげて示した。棚瀬あずささんが作品内の女性の扱いについて分析し、女性は円環の時間を司っているのだと紹介した。最後に野谷文昭さんがユーモアとアナクロニズムについて、冒頭、みずからを「語り部」と位置づけたやり方で語った。久野さんのホセ・アルカディオ(バナナ会社監督になるJ.A.)が生き残った者の罪悪感を抱いているという指摘や棚瀬さんのメメは唯一マコンドの滅亡後も生き残るという指摘には目からうろこが落ちた。 


盛況であった。このシンポジウムの様子は『れにくさ』に収録される予定。