9月はついにいちどもブログを更新しなかった。
中旬には集中講義を実施、その次の週にはとても久しぶりに相撲を観に行った。国技館に。
下旬にはかつての教え子たちに一月遅れの誕生日を祝ってもらった。みんな、ありがとう! (いただいた花)
最近は何巡目かのナイロン期に突入している。
どういうことか?
僕は弦楽器が好きだ。とりわけギターが好きだ。それも生ギター。生ギターでも鉄弦の音の方がいいと思う時期とナイロン弦(かつてのガット弦)の音が好きだと思う時期が交互にやって来る。そして今はナイロン弦を好む時期ということ。
鉄弦のギターといわゆるエレガットを持っていたのだが、ナイロン期に入った現在、そのエレガットの存在に疑問を感じ、比較的安価な「エレ(キ)」なしのガット・ギターすなわちナイロン弦のギター、俗にいうクラシック・ギターを新たに買ってみたのだ。
コルドバのc5。
これが、実にいいのだ。やはりエレガットよりも純然たる生がいい。
長いブランクの後に、大人になってからギターを手に取ってみると、世はTAB譜の全盛期になっていた。便利なのでそれに頼っていたら、まったく譜読みができなくなった。暗算能力が衰えるのに似て、かつてはそんなに難しくない音符の配列ならば、何も考えずにギターのフレット上でのその音の位置に指が行ったのだが、今はかなり単純なものでもいちいち音階を読み上げ、弦を確認し、フレットを数えていかないとその音が出せない。これでは一曲覚えるのに恐ろしく時間がかかってしまう。
それで、今年に入ってからTABなしのクラシックの楽譜集を買い、易しい曲からレパートリーに入れるようにしてきた。こうして段階的にまた少しずつ音符になれようという算段だ。フリオ・サルバドール・サグレーラスの「マリア・ルイサ」(イ短調、つまりシャープやフラットがひとつもつかないので単純なのだ)やフランシスコ・タレガの「ラグリマス」(涙、だな)といったところをクリアし、この新たな友と同じタレガの「アデリータ」を練習しているわけだ。後半、転調後が今ひとつ運指ができず、苦労している。が、ともかく、これまで使っていたいわゆるエレガット(YAMAHAのNTX700。既に生産を中止しているやつだ)よりも張りがあって澄んだ響きのコルドバの音色に聞き惚れながら練習している。
そう。新学期が始まる前の最後の逃避なのだけどね……
タイトルは、こういうこと:ある種のエレガットは標準的なクラシックギターよりもネックが細いことと14フレットジョイント(通常は12フレット)でさらにはカッタウェイだったりしてハイポジションが弾きやすいことを売りにしている。まさにヤマハのNTXシリーズがそうだ。そうした造りによってエレキギターや鉄弦のギターから入った人にとっては弾きやすくなる、と。
が、ところで、今回買ったコルドバのギターはネック幅は52mmでNTXより4mmほど太い。が、僕の感覚では4mm程度の差で押さえづらくなったという印象はない。あるいはヤマハの方が押さえやすかったという印象もない。そもそも人生で最初に手に入れたのはクラシック・ギターだったという来歴もあるかもしれないが、少なくとも標準的青年男性ていどのサイズであるはずの僕の手にとっては、4mmの差など大して苦にはならないのだ。
……本当にこの4mmの差に泣き笑いする人が(かなり小柄な人は別として)いるのだろうか? 疑問に思うのである。