昨日、17日(土)は下北沢B&Bで「読んでいいとも! ガイブンの輪」に出てきた。
豊崎由美が主宰する通称「よんとも」は、今は終了してしまったTV番組「笑っていいとも」のテレフォンショッキングのコーナー方式でゲストを呼んでトークし、そのゲストに次の回のゲストを紹介してもらうという催し。今回は番外編で、先頃亡くなった鼓直さんを追悼する回。野谷文昭、斎藤文子、久野量一に僕が鼓さんとの思い出を語ったり彼の翻訳作品を紹介したりした。
僕が紹介したのはアレホ・カルペンティエール『バロック協奏曲』(1974)。サンリオSF文庫の一冊として1979年に翻訳出版されたもの。サンリオが文庫事業から撤退して長らく絶版になっていたが、2017年、水声社から復刊された。
18世紀初頭、銀山で財をなしたメキシコ人が自分のルーツであるスペインに旅をする。途中、寄港先のハバナで召使いを疫病で亡くし、代わって身寄りはないが読み書きができ音楽の素養もある黒人フィロメノを使用人に雇い、大西洋を渡る。スペインに失望してヴェネツィアへ行ったところ、ヴィヴァルディ、スカルラッティ、ヘンデルといったバロック音楽の三巨匠に出会い、彼らのジャムセッションのような腕のひけらかし合いに立ち会う。フィロメノが宗教画に触発されてキューバの「蛇の踊り」の歌(カルペンティエールが得意としたモチーフ、公現日の祭の歌)を歌ったところからジャムセッションは一層の盛り上がりを見せる。これが第一の山場。翌日、カーニヴァルの変装で男がモクテスマに扮していたところから、ヴィヴァルディはこの人物に興味を持ち、オペラを着想する。そしてその翌日にはもうゲネプロの場面だ。オペラ的に脚色されたメキシコ征服の話に男は腹を立てたり感情移入したり。そして最後は自分がスペイン人というよりはメキシコ人であると意識を抱くようになる。翌日、新大陸に戻る主人から離れたフィロメノはルイ・アームストロングのコンサートに立ち会う。
新旧両大陸の出会い、文化のそしてとりわけ音楽の混交、時空間を自在にゆがめる手法など、カルペンティエールらしい作品だ。ヴィヴァルディのオペラ『モテズーマ』は、作家がこれを書いた時点で台本だけが確認されていて、つまりまだ幻の作品だったのだが、その後、楽譜が発見され、何度も演奏され歌われ、今ではCDやDVDになっている。あるいはYouTubeでも見られる。フィロメノが歌う「蛇の踊り」の歌もカルペンティエール自身がアマデオ・ロルダンと組んだバレエ組曲「ラ・レバンバランバ」で台本に取り込んだので、今では聴くこともできる。実は最後に言及されるルイ・アームストロングの楽曲のいくつかだけが、僕はまだ聴くことができていない。皮肉な話だ。
今日、こんなのが届いた。
何だろう?
弁当箱だ!
これを使うのはひと月以上先の話だけどな。
ところで、僕はポテトサラダを作る際にはタマネギとキュウリをドレッシングで浸し、マヨネーズで和え、そこにジャガイモを入れるようにしているのだが、最近、ただマッシュポテトにマヨネーズ(と塩コショウ)をかけただけの作り方もあると知った。かつ、スペイン語の辞書で “ensalada rusa” を引くと、ポテトにタマゴやツナなどを混ぜたサラダとの定義もある。なるほど! ツナを入れるのか、と思いつき、キュウリやタマネギは使わず、ゆで卵とツナフレークを加えただけのが、
これ。うまそう。と自画自賛。
こんな作り置きなども既にあるのだが、ともかく、空いた時間はこうして忙しい日々に備える。
あ、でも9月に入ったらしばらく東京にいないから、8月のうちに食べ終えなきゃ!