様々な詩人たちの詩にホセ・マリア・ビティエールが曲をつけてピアノを弾き、パブロ・ミラネスが歌ったCanción de otoño (Beans, 2014)の輸入盤にそれらの詩の訳を作った。その関係もあって輸入元のAHORAコーポレーションとはつき合いがあるわけだが、そのアオラが今一押しのディーバが里アンナ。彼女の島唄だけのアルバム『紡唄』(Primitive Voice、2015)発売記念ライヴの本番前ショーケースにご招待いただいたので、それならば、とライヴまで聴いてきた。
場所は代官山「晴れたら空に種まいて」なんだかすてきな名前の豆腐ライヴハウス。
特筆すべきポイントは三つ。まずは同姓の里国隆ばりの竪琴を奏でながらの曲。そのうち「行きゅんにゃ加那」はショーケースと本番では少し2番以降の歌詞を変え、つまり2バージョン聴くことになったわけだ。このポピュラーと言えばあまりにもポピュラーな曲が竪琴に乗ると新鮮だ。
アルバムは個人のものだが、今日のライヴは前山真吾と里歩寿、ふたりのゲストを迎えてのものだった。南部(古仁屋)の出身のふたりとのコラボレーションが二つ目と三つ目のポイント(ちなみに、ショーケースでの「行きゅんにゃ加那」は前山とふたりで歌ったので、里のソロでやったライヴ本番とは違ったという次第)。
一口に島唄と言っても南と北では違うのだと説明し、その証拠に「長雲」という曲を里アンナ、前山真吾が同時に歌い、まれに見るフーガを紡ぎ出して見せた。逆に、「請けくま慢女」(カサン節)と「豊年節」(ヒギャ節)が異名同曲であるそうで、これをメドレーで演じた。この2つの演目のコントラスト、および演目内部でのコントラストが印象的。すばらしい。
そしてまた、すばらしいといえば、その「請けくま慢女」で「請けくま慢女ちば、あがしがりきょらさぬ♪」と歌う里アンナにうっとりとしてつけたのが、今日のブログのタイトル。
……いやいや、そういうことではなく、里アンナの声量としっかりとした音程、声の張りたるや……会場の壁は、彼女の裏声に入る直前の高音域のところで震えていた。間違いない。
開演前の土盛海岸の映像。
終わってCDにサインしてもらったら、みんなそうしていたので、ぼくも一緒に写真を撮ったのだった。でもその写真は、もっぱらぼく自身が照れるので、Facebookだけにあげておこう。むふふ。